ウォーキング・デッド S6 第10話 「ジーザスと名乗る男 -The Next World-」
S2中盤辺りまではグレンが比較的コメディリリーフとして使われていたものの、それらを除けばこのドラマで
史上初と言ってもいいぐらいのコメディ要素強めのエピ、しかも曲の使い方までコメディタッチ重視という。
内容的にもカールとイーニッドが普通に森でデートしていたり、用意されていた展開自体は重くても
ミショーンとスペンサーの探索だったり、平行して描かれていた展開もどこか軽めのタッチで良い感じ。
大きな展開としてはリックとミショーンが恋愛関係に発展したっぽいですけど、これは前回から二ヶ月経過、
という設定を抜きにしても、視聴者的には前回ジェシーが死んだばかりなわけなので、せめてもう少し
話数的に間を置いたほうが良かったんじゃないかなという気はしました、リックがガッツキすぎに見えて。
あとは新キャラの男、これはFOXの翻訳の問題ですが、原語だと「友人は俺の事をジーザスと呼ぶ」
と言っているのに、日本語訳だと「イエス」と訳されていたので、これはマジで余計な翻訳だった気が。
▼見たかった前回直後の展開がカットは残念
極めて事故に近い形だったとはいえカールが目を撃たれ、最後に意識を取り戻したのかリックの手を
握り返して終了、街は壁が崩壊してさぁこれからどうするんだ、死んだかもしれないと思われていた
グレンやダリル達との再会、という正に一番見たい部分が一気にカットされて、どうやら公式設定によると
前回から二ヶ月が経過していたらしい、という今回の幕開け、正直それはないだろうと。
人によって見たい部分は様々でしょうし、今回のエピ自体は面白かったので満足ですが、個人的には
一番見たかった部分が全て「もう終わりました」で片付けられたので、正直なんとも残念な幕開けでした。
それに、誰もが思った事でしょうけど、前回で言わばアレクサンドリア編の第一部完、といった感じの
終わり方で、今回が二ヶ月経過した始まりなわけなので、なら前回のエピでS6前半が終了、という構成で
マジで良かったんじゃないか、と思いました、あまりにも構成が良くなさすぎるというか。
▼二人の組み合わせに違和感
リックとダリルが物資調達に出掛けている展開でしたけど、個人的にこれはちょっと残念だったかなーと。
少なからず街の復興が一段落はついているんでしょうし、カールも安定したようなのでリックとしても
行動を制限するものが無くなった、というのは分かるんですが、平均の法則の会話から察するに、
マジでここ最近は二人で物資調達に出掛けている、という感じでしたけど、個人的な好き嫌いを抜きに、
物資調達で言えばリック側はグレン、アレクサンドリア側はアーロン、この二人のペアで行くのが
手際の良さやサバイバル能力の高さも考えると一番だと思うので、深い意味は無かったのかもしれませんし、
例えば今後またリックとダリルが当分絡まない展開が来るからここで絡ませておくしかない、といった
だけの事かもしれませんが、リックとダリルの組み合わせで物資調達、というのは、このドラマにしては
珍しく悪い意味でファンサービス重視の展開に見えて少し違和感があったというか、穿った見方で恐縮ですが。
せめてリックとグレンとか、以前のようにダリルとアーロン、のほうが流れ的にも自然だった印象。
▼カールにとって色々とトラウマの展開
イーニッドに呼び止められるも「放っておいたら危険だ」と言い自分達に気付いていないウォーカーを
自ら呼び寄せて殺そうとしたり、どうやらディアナだったようなので自分が殺さずに先程見かけた
スペンサーの元に誘導してスペンサーにトドメを刺させる、という行動。
ただでさえカールは前回目を撃たれて左目を失明したという、ちょっとマジで尋常じゃなく重い展開を
体験してしまったのに、今回は今回で二つもトラウマを思い出させる展開が用意されていてエグかったなーと。
「ウォーカーを放置したら危険」に関しては、カール自身がS2の池でウォーカーを放置したが為にデールが
結果的に殺される原因を作ってしまい、近しい人物は家族か愛する者が殺さなければいけない、に関しては
ローリにトドメを刺した事を思い出したでしょうから、その辺りの事を突っ込んで描いてはいなかったものの、
何気にカールにとっては相当重たい出来事が今回連続で降りかかって厳しい限りだったなーと。
史上初と言ってもいいぐらいのコメディ要素強めのエピ、しかも曲の使い方までコメディタッチ重視という。
内容的にもカールとイーニッドが普通に森でデートしていたり、用意されていた展開自体は重くても
ミショーンとスペンサーの探索だったり、平行して描かれていた展開もどこか軽めのタッチで良い感じ。
大きな展開としてはリックとミショーンが恋愛関係に発展したっぽいですけど、これは前回から二ヶ月経過、
という設定を抜きにしても、視聴者的には前回ジェシーが死んだばかりなわけなので、せめてもう少し
話数的に間を置いたほうが良かったんじゃないかなという気はしました、リックがガッツキすぎに見えて。
あとは新キャラの男、これはFOXの翻訳の問題ですが、原語だと「友人は俺の事をジーザスと呼ぶ」
と言っているのに、日本語訳だと「イエス」と訳されていたので、これはマジで余計な翻訳だった気が。
▼見たかった前回直後の展開がカットは残念
極めて事故に近い形だったとはいえカールが目を撃たれ、最後に意識を取り戻したのかリックの手を
握り返して終了、街は壁が崩壊してさぁこれからどうするんだ、死んだかもしれないと思われていた
グレンやダリル達との再会、という正に一番見たい部分が一気にカットされて、どうやら公式設定によると
前回から二ヶ月が経過していたらしい、という今回の幕開け、正直それはないだろうと。
人によって見たい部分は様々でしょうし、今回のエピ自体は面白かったので満足ですが、個人的には
一番見たかった部分が全て「もう終わりました」で片付けられたので、正直なんとも残念な幕開けでした。
それに、誰もが思った事でしょうけど、前回で言わばアレクサンドリア編の第一部完、といった感じの
終わり方で、今回が二ヶ月経過した始まりなわけなので、なら前回のエピでS6前半が終了、という構成で
マジで良かったんじゃないか、と思いました、あまりにも構成が良くなさすぎるというか。
▼二人の組み合わせに違和感
リックとダリルが物資調達に出掛けている展開でしたけど、個人的にこれはちょっと残念だったかなーと。
少なからず街の復興が一段落はついているんでしょうし、カールも安定したようなのでリックとしても
行動を制限するものが無くなった、というのは分かるんですが、平均の法則の会話から察するに、
マジでここ最近は二人で物資調達に出掛けている、という感じでしたけど、個人的な好き嫌いを抜きに、
物資調達で言えばリック側はグレン、アレクサンドリア側はアーロン、この二人のペアで行くのが
手際の良さやサバイバル能力の高さも考えると一番だと思うので、深い意味は無かったのかもしれませんし、
例えば今後またリックとダリルが当分絡まない展開が来るからここで絡ませておくしかない、といった
だけの事かもしれませんが、リックとダリルの組み合わせで物資調達、というのは、このドラマにしては
珍しく悪い意味でファンサービス重視の展開に見えて少し違和感があったというか、穿った見方で恐縮ですが。
せめてリックとグレンとか、以前のようにダリルとアーロン、のほうが流れ的にも自然だった印象。
▼カールにとって色々とトラウマの展開
イーニッドに呼び止められるも「放っておいたら危険だ」と言い自分達に気付いていないウォーカーを
自ら呼び寄せて殺そうとしたり、どうやらディアナだったようなので自分が殺さずに先程見かけた
スペンサーの元に誘導してスペンサーにトドメを刺させる、という行動。
ただでさえカールは前回目を撃たれて左目を失明したという、ちょっとマジで尋常じゃなく重い展開を
体験してしまったのに、今回は今回で二つもトラウマを思い出させる展開が用意されていてエグかったなーと。
「ウォーカーを放置したら危険」に関しては、カール自身がS2の池でウォーカーを放置したが為にデールが
結果的に殺される原因を作ってしまい、近しい人物は家族か愛する者が殺さなければいけない、に関しては
ローリにトドメを刺した事を思い出したでしょうから、その辺りの事を突っ込んで描いてはいなかったものの、
何気にカールにとっては相当重たい出来事が今回連続で降りかかって厳しい限りだったなーと。
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ウォーキング・デッド S6 第09話 「決死の一夜 -No Way Out-」
後半再開、と同時に未だかつて無い緊張感と爽快感の合わさった幕開けに始まり無双展開というエピ。
冒頭なんかは王道でいきなりエイブラハム射殺、という展開かと思いきやダリルがロケットランチャーで
バイカー達を皆殺しとかいうまさかの展開で流石に笑わせてもらいましたが、本編は本編でカールに悲劇、
今度こそ終わりかと思ったグレンが、展開自体はS4と同じ流れとはいえ相変わらずの不死身属性を発揮と、
後半再開一発目から盛り沢山の凄いエピソードでした、満足度も尋常ではないレベル。
ただ、上手くアレクサンドリアの騒動が一区切りついたので、やっぱりこのエピで前半終了、が良かった気が。
▼ゲイブリエルにジュディスを託して大丈夫なのかどうか
正直信頼度に関しては微塵も無いでしょうし、現実問題仮に教会へウォーカーが押し寄せてきたら、
もはや赤ちゃんがどうとかではなくゲイブリエルは恐らくジュディスを見捨ててでも自分だけは助かろうと
行動する可能性のほうが高いですけど、単純な確率論で言えば、まぁ多少は安全でしょうか。
仮にジュディスを見捨てた場合、100%確実にリックに殺される事になるのは目に見えてますし、それに
ゲイブリエルとしてもリック達が居なければこの先自分が生きていけない、というのも分かってるでしょうから、
そういう意味では今までと違って命がけでジュディスを守るのには必死になるでしょうし、教会に立てこもって
脅威の有無を問わず「ゲイブリエルがジュディスをきちんと守り切った」となれば自身への評価や信頼度も
今後は増すわけなので、嫌な考え方ではあるもののそういう事を含めて今回はまぁまだ信頼出来る気が。
▼ジェシー親子全滅の流れは見事
サムは年齢的な事を考えると、これはもうどうしても仕方のない事なので責める事は出来ませんが、一度は
ジュディス同様教会へ逃げる方法があったのに自分でジェシーと行く選択をして、夜間に大量のウォーカーを
目の当たりにした事で以前キャロルに言われた事を思い出してしまい恐怖が止まらず、そのせいで動揺して
結果的にウォーカーに噛まれてしまい、当然目の前でそんな惨事を見せられたジェシーは冷静を保つ事が
出来るはずもなく絶叫、体中に力が入っている事もありカールの手を握りしめて離さなかったのでカールを
助ける為にリックがジェシーの腕を斧で切断、それを見たロンの精神が限界を超えてリックを射殺しようと
暴走したのでミショーンが背後からロンを一突きにして殺害。
悲劇としか言いようのない負の連鎖ではあったものの、この流れは見事でした、展開的にも非常に上手い。
例えば直近でひどかった死に方だと前半4話目のモーガンのエピソードでウォーカーに噛まれたイーストマン。
あまりにもわざとらしい噛まれ方で流石に萎える部分がありましたが、あの時とは違って、今回ジェシー達が
全滅したのが違和感のない展開として描かれていたので、これはもう単純に上手い流れだったなと思いました。
ロンが刺された際にトリガーをひいてしまい、不幸にもカールの右目を撃ちぬいてしまうという流れも見事。
勿論、結果論上等で言えばミショーンは万全を期す為にロンを背中から刺すのではなく、銃が暴発して、
その銃声を聞いてウォーカーが集まるのを避ける為にも右手を切断するべきでしたが、流石にそんな余裕は。
▼結局モーガンは事態を悪くしただけ
幸か不幸か、死なずに生き残っていたのに噛まれてしまいウォーカーになってしまったWの男。
デニースとの一連の展開に関してはデニース本人が言っていたように、男の考え方が変わったのか、或いは
単純に医者はやはりこういう世界だと最重要必須職業なので確保しようとしてデニースを救おうとしたのか、
どちらかは分かりませんが、モーガンのおかげでWの男が変わった、かどうかは当然判別せず死亡。
モーガンには初対面の時同様変わらぬ態度で接していたのに、二人で居た時からデニース相手には少なからず
心を許している節があったので、仮に男の考え方が変わったとしたらそれはデニースのおかげであって、
襲われているのがデニースだから助けただけで他の人物なら今現在でも恐らく見捨てて逃げていたでしょうし。
それに元々を言えば、そもそもモーガンが初対面なり街を襲撃された際に男を殺していればこうやって
デニースが危険に晒される事もなく、男も噛まれてウォーカーになるという地獄を味わう事もなかったので、
結局モーガンのした「男を生かす」というのは事態を悪化させただけで何にもならなかったな、と。
挙句の果てに、モーガンの考え方なら当然の選択でしょうけど、実際に男がウォーカーになると殺すとかいう。
冒頭なんかは王道でいきなりエイブラハム射殺、という展開かと思いきやダリルがロケットランチャーで
バイカー達を皆殺しとかいうまさかの展開で流石に笑わせてもらいましたが、本編は本編でカールに悲劇、
今度こそ終わりかと思ったグレンが、展開自体はS4と同じ流れとはいえ相変わらずの不死身属性を発揮と、
後半再開一発目から盛り沢山の凄いエピソードでした、満足度も尋常ではないレベル。
ただ、上手くアレクサンドリアの騒動が一区切りついたので、やっぱりこのエピで前半終了、が良かった気が。
▼ゲイブリエルにジュディスを託して大丈夫なのかどうか
正直信頼度に関しては微塵も無いでしょうし、現実問題仮に教会へウォーカーが押し寄せてきたら、
もはや赤ちゃんがどうとかではなくゲイブリエルは恐らくジュディスを見捨ててでも自分だけは助かろうと
行動する可能性のほうが高いですけど、単純な確率論で言えば、まぁ多少は安全でしょうか。
仮にジュディスを見捨てた場合、100%確実にリックに殺される事になるのは目に見えてますし、それに
ゲイブリエルとしてもリック達が居なければこの先自分が生きていけない、というのも分かってるでしょうから、
そういう意味では今までと違って命がけでジュディスを守るのには必死になるでしょうし、教会に立てこもって
脅威の有無を問わず「ゲイブリエルがジュディスをきちんと守り切った」となれば自身への評価や信頼度も
今後は増すわけなので、嫌な考え方ではあるもののそういう事を含めて今回はまぁまだ信頼出来る気が。
▼ジェシー親子全滅の流れは見事
サムは年齢的な事を考えると、これはもうどうしても仕方のない事なので責める事は出来ませんが、一度は
ジュディス同様教会へ逃げる方法があったのに自分でジェシーと行く選択をして、夜間に大量のウォーカーを
目の当たりにした事で以前キャロルに言われた事を思い出してしまい恐怖が止まらず、そのせいで動揺して
結果的にウォーカーに噛まれてしまい、当然目の前でそんな惨事を見せられたジェシーは冷静を保つ事が
出来るはずもなく絶叫、体中に力が入っている事もありカールの手を握りしめて離さなかったのでカールを
助ける為にリックがジェシーの腕を斧で切断、それを見たロンの精神が限界を超えてリックを射殺しようと
暴走したのでミショーンが背後からロンを一突きにして殺害。
悲劇としか言いようのない負の連鎖ではあったものの、この流れは見事でした、展開的にも非常に上手い。
例えば直近でひどかった死に方だと前半4話目のモーガンのエピソードでウォーカーに噛まれたイーストマン。
あまりにもわざとらしい噛まれ方で流石に萎える部分がありましたが、あの時とは違って、今回ジェシー達が
全滅したのが違和感のない展開として描かれていたので、これはもう単純に上手い流れだったなと思いました。
ロンが刺された際にトリガーをひいてしまい、不幸にもカールの右目を撃ちぬいてしまうという流れも見事。
勿論、結果論上等で言えばミショーンは万全を期す為にロンを背中から刺すのではなく、銃が暴発して、
その銃声を聞いてウォーカーが集まるのを避ける為にも右手を切断するべきでしたが、流石にそんな余裕は。
▼結局モーガンは事態を悪くしただけ
幸か不幸か、死なずに生き残っていたのに噛まれてしまいウォーカーになってしまったWの男。
デニースとの一連の展開に関してはデニース本人が言っていたように、男の考え方が変わったのか、或いは
単純に医者はやはりこういう世界だと最重要必須職業なので確保しようとしてデニースを救おうとしたのか、
どちらかは分かりませんが、モーガンのおかげでWの男が変わった、かどうかは当然判別せず死亡。
モーガンには初対面の時同様変わらぬ態度で接していたのに、二人で居た時からデニース相手には少なからず
心を許している節があったので、仮に男の考え方が変わったとしたらそれはデニースのおかげであって、
襲われているのがデニースだから助けただけで他の人物なら今現在でも恐らく見捨てて逃げていたでしょうし。
それに元々を言えば、そもそもモーガンが初対面なり街を襲撃された際に男を殺していればこうやって
デニースが危険に晒される事もなく、男も噛まれてウォーカーになるという地獄を味わう事もなかったので、
結局モーガンのした「男を生かす」というのは事態を悪化させただけで何にもならなかったな、と。
挙句の果てに、モーガンの考え方なら当然の選択でしょうけど、実際に男がウォーカーになると殺すとかいう。
HOMELAND
![]() | HOMELAND/ホームランド ブルーレイBOX [Blu-ray] 監督:ハワード・ゴードン 出演:クレア・デインズ 価格:¥6,726 (2016.02.16時点) 時間:658分 発売日:2013.05.31 |
ようやく視聴してみての感想はというと、よくある「面白いのは面白いけど」という形容詞が非常に合う
作品だったなと思いました、実際面白かったんですが、中盤までの起伏の無さで脱落する人が多そうな印象。
終盤の面白さは桁外れですし、見事な演技力を発揮する俳優陣も見事なものの、このドラマの場合テロを
題材にしている事でどうしても24が脳裏をかすめてしまい、テンポ的な問題で終盤まで多少まどろっこしく。
単純に内容が少々重いという事もあって、見るまでに根性が必要なドラマ、というような感じ。
▼24との違い
同じくテロを扱った作品として、やはり同系統の24と比較して見てしまう部分は誰しもあると思うんですが、
24はタイトル通り24時間で解決する作品なので、当然テンポは非常に良く、主人公のジャック・バウアーも
尋常ならざる捜査方法や法律無視の行動で無茶をするわけですけど、当然キャリー達はそんな事はせず
じっくり足場を固めて証拠を集めて、という捜査方法なので、むしろコッチのほうが当然ですし当たり前の
捜査ではあるものの、どうしても24と比べてしまうと単純なテンポの良し悪しで違いが出すぎてしまうので、
このドラマに関してはまず導入になるソコの部分で結構ダレてしまいやすい部分があるんじゃないかなーと。
勿論利点もあって、24は24時間の出来事なのに対して、こっちは数週間数ヶ月というスパンで物語を
描く事が出来るので、感情の揺れ動きや心情の変化をリアルに表現出来ますし、そのおかげで活きてくる
シナリオを使う事も出来るので、静と動ではないですけど、ホームランドはじっくりと描く作品。
強いて欲を言えば、初回エピソードなんかは非常に構成も良く吸引力も強かったのに、そこから終盤手前、
その辺りまでなんとも言えない冗長とした流れになるので、全10話ぐらいにまとめたほうが良かった気が。
▼終盤の盛り上がりと緊張感は凄まじい
ソコへ至るまでの序盤や中盤が、良く言えば非常に丁寧、悪く言えばあまりにも物語が進まない、という
描き方のせいで、余計そう感じるところがあったのかもしれませんが、特に公園での爆破テロ辺りからの
盛り上がりと緊張感は強烈なものがありました、正に見ているだけでも体に力が入ってしまうというか。
そう状態になって以降のキャリーはソールですら困惑して最後は信じきれなかったように、余程親しい間柄の
人物が見ても「これはダメだ」としか思えない「明らかに普通じゃない」っぷりで強烈でしたし、
ウォーカーによる狙撃シーン、ブロディが覚悟を決めて自爆テロを決行しようとするシーン、この辺りの
尋常ならざる緊張感はもぅ凄まじいものがあったなーと、俳優陣の演技力の正に本気を感じるというか。
地下のシェルターに避難して以降の展開なんか特に強烈で、副大統領を目の前にしてアイサを思い出し、
ナジールの言葉を反芻しながら今にも爆発せんばかりの緊張した面持ちでブロディが自爆スイッチを押す、
だが装置が動作せず、再度挑戦しようとするとデイナから電話がかかってきて、特にそのデイナとの電話での
やりとりなんて見ていて息を呑むレベルの緊張感と「なんとかブロディ思いとどまってほしい」と思わせる
凄みがあったので、この場面のやりとりは数ある映画やドラマの中でも屈指の緊張感を感じました。
物語的にも、キャリーが最後は誰にも信用してもらえず病気の治療で終わる、という主人公側の失敗で終了、
という幕引きも珍しいケースだったので、面白い流れだったなと。
▼感情移入の度合いが凄い
退屈だと思われても仕方がない序盤や中盤の描写があったからこその感情移入になるわけですが、
実際主人公であるキャリーは、正直これはちょっと嫌われても仕方ないレベルの個性が強すぎるキャラでは
ありますし、典型的な「いや絶対自分の考えは正しい、これで間違いない」というあまりにも我が強すぎる
性格をしてはいるものの、特に終盤でそう状態のキャリーが誰にも理解されず、確かにどう見ても頭の
狂った女が捨てられた腹いせにブロディに迷惑をかけている、としか思えないような描写と展開になる、
というのが上手いよなーと、この辺りはキャリー役のクレア・デーンズの演技力の賜物でもありますけど、
ブロディが訪ねてくる、と分かって必死にめかしこんで嬉しそうにしていたり、ブロディに「さよなら」
と言うしかない際の泣きそうな表情と、その後の絶望した表情でマギーに「病院へ…」と告げるシーン、
もうホントこの辺りは流石に見ていてキャリーが可哀想すぎましたし、前述のように相反する立場で、
もう一人の主役として描かれているブロディはブロディで8年間に及ぶ拷問だったりの設定が既に悲惨で、
ブロディ自身が言うように「テロリストではなく正義を行う」の気持ちも当然理解出来るわけで、
自爆テロ決行に際してデイナからの電話で思いとどまるシーンなんかも、もう完全にデイナと気持ちが
リンクして見ていたので、とにかく視聴者に対する感情移入のさせかたが半端ではないレベル。
▼ただ必要ない描写も正直多め
一見どうでも良さそうな展開でも、その展開があったからこそ、という部分は実際どんな作品にもありますし、
嫌な言い方をすれば全12話の尺で、レギュラーキャラにはそれなりの出番を用意する必要があるので、
水増しと取られても仕方ない描写でも展開が何か必要なのは分かりますし、家族の結びつきを強くする為に
大事な要素なのは分かりますが、例えばこういうCIAのような仕事をしていれば中々恋人や人生の伴侶とは
上手くいかない、というのは当然ではあるもののソールとミラのエピソード、キャリーとデイヴィッドが昔
一時的に付き合っていた、といった描写は正直必要なかったんじゃないかなーと、内容も王道すぎましたし。
ソールとミラに関してはその事でアイリーンの説得に一役買う展開になっていたので無駄ではないものの、
共にただでさえ展開が遅いと感じてしまう序盤に盛り込まれていただけに「いや、もうそういうのはいいから」
とどうしても思ってしまう部分があったのも事実かなーと、終盤に入れるわけにはいきませんが、かといって
テンポが良すぎるわけではない作品の序盤にそういう要素を入れられてもむしろ辟易されやすいというか。
▼ポリグラフの信憑性
これはもう何を今更という感じですし、実際他の作品でも簡単にポリグラフを突破するケースは多いですが、
実際素人相手ならまだしも、プロを相手にポリグラフはどこまで有効で、どこまで信憑性があるんでしょうか。
このドラマでもプロディがやったように嘘を突き通せて、逆にソールのように気分が高揚していると本名を
答えただけでも嘘と判定されたり、或いは予想外の質問をされてついドキっとして答えた、というケースでも
恐らく真実が嘘と判定される事もあるでしょうから、正直ポリグラフは無意味なだけのような気が。
ブロディの浮気云々を抜きにしても恐らくキャリーはブロディが「嘘を吐いたはず」と意見を変える事は
無かったでしょうから、そういう意味でも「ポリグラフにかける」時点で、もう相手を信じてないからこそ、
嘘だと判明すればそれ見た事かで、真実と出ても「いや絶対嘘を吐いてるはず」で信じないでしょうから、
もう大前提としてポリグラフなんて全く無意味な気がしました、どうせ信じない人は必ず出ますし嘘もいける。
▼S1 全12話を見終えての感想
序盤や中盤の、あまり物語が進まない遅々とした展開の兼ね合いでどうしても人に勧めにくい類の作品、
という印象は拭えないものの、良く言えば丁寧な人物描写や心の揺れ動きをしっかりと描いているおかげで、
終盤の盛り上がりと完成度はこの手のジャンルの中でも屈指の面白さだと思うので、総合的な完成度で言えば
非常に面白い作品だったなと思いました、加えて主演二人の強烈な演技力のおかげもあり。
ワンシーズン12話構成という事を考えると、S1に関して言えば決して短いスパンで描ける作品の利点を、
正直活かせていない印象は強いものの、終盤加速度的に面白くなっていく、という点では見事だったなーと。
変にメインキャラの数を増やさないのも良かったと思いますし、何かと納得させられる展開が多かった印象。
物語自体は続いているものの、帰国したブロディがナジールの尖兵状態で果たして副大統領を殺すのか、
という一連の物語に関してはしっかり決着しているので、そういう意味でもそのシーズンで描かれた内容を
終わらせて、ホント一応とはいえちゃんと完結してから次のシーズンへ、となっているのは良かったです。
単純な展開で言ってもキャリーがCIAを解雇されたうえに病院送りにされる、という展開は流石に予想が
出来ませんでしたし、似たようなジャンルの作品という点でも24とはしっかりとした差別化が図れていて。
ただ前述のように作品のテーマや根底に流れる考えや志等が何と言っても重いので、面白いし完成度は
高いものの、どうにも人に勧めにくいドラマ、という感じでした、面白いけどちょっと勧めにくい、という。
キャラクターを丁寧に描いている事と、俳優陣の演技力が見事なので感情移入のしやすさや、思わぬ展開で
驚かされるという物語の構成は見事なものの、流石にある程度以上の年齢でないと分かりにくいというか。
決して馬鹿にするわけではないですが、24が分かりやすい面白さなのに対して、ホームランドはじっくりと
見る大人向けのドラマというか、比較としてはそういう感じになるかなーと、どちらも勿論面白いですが。
展開的にはS2でキャリーがどういう風に描かれるのか、ブロディは今後どうするのか、などが非常に楽しみ。
ジェシカ・ジョーンズ Season1
NetFlixで視聴、デアデビルに続くマーベル作品第二弾でNetFlix限定のオリジナルドラマ。
厳密には探偵モノというわけではないですし、序盤以降はキルグレイブ関連の展開のみになるので、むしろ
探偵展開は序盤以降ほぼ完全に無くなると言っても過言ではないものの、それでも探偵が主人公という事で、
個人的にはヴェロニカ・マーズ以来という事もあり結構期待していた作品、恐ろしくどうでもいい個人的な
思い入れで言えば、配信開始日が11月20日で自分の誕生日、という事もちょっとした注目ポイントでした。
肝心の感想はというと、同じくマーベルのデアデビルが、ネット上での評価の高さとは裏腹に、どうも
あまり面白いとは思えなかったので少し心配していたものの、このジェシカ・ジョーンズは面白かったです。
キルグレイブが登場するまでは正直少しまどろっこしい展開でしたし、序盤で再三映像として何度も描かれる
ルークとの情事なんかも「そこまで見せる必要あるか?」と少し辟易したのも事実ですが、全体的に面白く。
▼探偵モノではない
ジェシカは探偵をやっていて、序盤こそ何度か依頼を受けて、終盤でも探偵らしい考えや行動で事実を解明、
という展開こそ用意されているものの、誰もが想像するような単発エピで毎回依頼を解決するだとか、
一つの事件を長尺で複数話にわけて解決する探偵モノ、というわけではないので、正直に言うとその点は
少し残念でした、前述のようにヴェロニカ・マーズ以来となる女探偵モノかなと期待していただけに。
内容的には面白かったですし満足もしているんですが、数多く溢れている犯罪捜査モノと違って探偵モノは
数が少なく、更に女性主人公になるとほとんど見かけなくなってしまうので、キルグレイブとの戦いという
本筋からはズレてしまうものの、探偵らしい側面というか、わざわざ探偵という設定にしている以上は、
序盤だけでなく「いかにも探偵」という描写や要素はもう少し入れておいてほしかったかなーと。
ただ、曲に関しては「これぞ探偵モノ」という感じのハードボイルド系にありがちな曲で非常に良かったです。
▼ジェシカの過去が結構重い
比較的序盤から終盤で新たに判明する過去も含めて、主人公であるジェシカが重い過去を背負っている、
というのがまず良かったなと思いました、特に本人も未だに悩んでいるレヴァの殺害という致命的な過去。
これは勿論キルグレイブに操られていた事による殺害なので、そういう意味ではジェシカ本人に責任は無く、
むしろジェシカが救おうとしていたホープと全く同じ被害者ではあるものの、それでも主人公が過去に
人を殺してしまっている、という設定が何よりも凄いなーと、と同時に非常に重い。
更に凄いのが、最終的にはジェシカも何とかして救おうとしていたホープが命を断ってしまったので、
迷いが消えたというか、自身の復讐とホープの無念を晴らす為にキルグレイブを殺しましたけど、
シンプソンにも言われていたように、ジェシカは劇中何度もキルグレイブを殺す事が出来る状況だったにも
関わらず、ホープの無罪判決を勝ち取る為にキルグレイブの能力を立証する事を優先していたので、
ホント結果論上等ではあるものの、ジェシカはキルグレイブを殺せたのに、ジェシカが殺さなかったせいで
数多くの犠牲者と死者をあまりにも出しすぎてしまった、というのがまた重いなーと、エグイ展開。
電流を解除したホガーツも勿論悪いんですが、それでもジェシカのミスで数多くの死傷者を生み出す展開が。
▼お互いの心理戦が熱い
キルグレイブは自分の言葉で相手を意のままに操れる、という流石にチートにもほどがある強烈な能力を
持っていたわけですが、どういうわけかジェシカにだけはレヴァの死後通用しなくなっていたので、終盤で
能力を向上させようとするキルグレイブ、ソレ以降お互いの「果たして能力は効くのかどうか?」の
駆け引きが熱く、ジェシカ側は「この人はキルグレイブに操らているのかどうか?」の見極め、仮に
キルグレイブを昏倒させたり殺した場合、キルグレイブ自身に何かあったら何かを実行しろ、という命令が
下されている人物が居るのではないか、という疑心暗鬼など、特に終盤はこの辺りの心理戦が非常に面白く。
また面白いのが、もうキルグレイブがマジでどうしようもないキャラなので、正直見ている側としては正に
シンプソン同様「いいからこんな危険な奴は始末出来る時に始末しろ」としか思えないものの、敢えて
殺さずにホープの無罪判決を勝ち取るべく戦っているので、という事は最終的にどういう結末を迎えるのか、
という予想も色々立てれたので、その辺りの面白さもありました。
ここまで引っ張って殺さないという事は、当初の予定通り密閉室に閉じ込めて放置、で意外と終わるのかと
思っていただけに、ホープが、自分が選んだ道とはいえ命を断ってしまいジェシカがキルグレイブを最終的に
殺す、という結末は、ある意味このドラマらしい重さを最後まで貫いたなーと。
▼キルグレイブは何故126万ドルを支払ったのか?
ジェシカが昔住んでいた家を手に入れる為に、今現在の時点でその家に住んでいる家主に対して能力を
行使せず、能力で得た資金とはいえ実際に家の譲渡資金として126万ドルを家主に支払っていましたが、
結局これは何故能力を使わなかったんでしょうか、一応劇中では最後まで明かされませんでしたが。
金を支払った直後家主には「立ち去れ」と命令して能力はきちんと発動していたので、何らかの理由で
一時的に能力が使えなかったので、というお約束の展開ではないのに、能力は使わずに代金を支払う展開。
これはやはり、本人も言っていたように多少屈折した想いではあるものの、キルグレイブにとってジェシカは
どうしても手に入れたいとか従わせたいとか、とにかく唯一何とかして振り向かせたい相手であって、
愛しているのは事実だと思うので、その相手を喜ばせる為に能力を使わずに金を支払った…というのが一応
理由としては妥当なところなんでしょうか、その資金は能力で得たものですけど、そこはもう関係無く。
▼キルグレイブの苦しみも分からないではない
幼少時代に体験した親からの仕打ちは、お約束の展開とはいえこれはもうあまりに可哀想でしたが、
個人的にはそれ以上にジェシカへ言った「言葉を慎重に選ぶ辛さが分かるか!?」という絶叫。
終盤で本人が更にジェシカへ語っていたように、自分の言葉で誰かが死んでもキルグレイブ自身は罪の意識を
全く感じていなかったようですが、それでも前述の「言葉を選ぶ」という辛さもやはり事実だと思うので、
コレは相当苦しい悩みだなと思いました、ああしろこうしろ、に聞こえてしまう冗談すら迂闊に言えない。
親による仕打ちで屈折したり、精神年齢がその時のまま止まってしまったとしても、当然キルグレイブも
大人になるまでに色んな人と出会って、極端に言えばジェシカに対して感じているのと同様好きになった
相手も居るでしょうに、何を喋っても自分の思い通りになってしまううえ、支配から脱却すると相手は
自分を恐怖の目で見て逃げていくだけでしょうから、ホント確かにこういう展開はあまりにお約束の過去では
あるものの、それでもキルグレイブの「言葉を慎重に選ぶ辛さが分かるか!?」は重い一言だったなーと。
▼印象的なセリフが多い
こういうのは当然個々様々に感じるところは違うと思うので、あくまでも個人的には、ですけど、まずは
前述のキルグレイブによる「言葉を慎重に選ぶ辛さが分かるか!?」にはじまり、初回エピでホープの父親が
言った「女性が一人で住んでるんだぞ、ドアの無い部屋なんて危険すぎる!」というあまりに男前なセリフ。
「ホガーツを1000回切りつけて殺せ」「ルーベンの命に値段をつける気?」「私は一流の変態よ」
ハっとさせられる説得力のあるモノもあれば、ジェシカが言った一流の変態のように極めてセンスを感じる
インパクト抜群のセリフもあったりと、非常に印象的なセリフが多い作品だったなと思いました。
一流の変態に関してはサブタイにまで使われているわけなので、相当制作側もお気に入りのセリフ。
▼イライラさせるキャラクターの多さが尋常ではない
別に見ていて本気で腹が立つ、とかそういうレベルではなく、あくまでマルコムのように心底鬱陶しい、
というキャラクターでの事ですが、まずマルコムなんかは序盤はキルグレイブに操られてジェシカの
写真を届けていた、という被害者なのでまだしも、簡単に薬に溺れるわ、被害者の会ではいつのまにか
自分がグループをまとめてる、的な顔で行動しているわ、最後も故郷へ帰ると言いつつ結局ジェシカへの
気持ちがあるからかとどまり続けて最後は助手のような形で物語を終えるという「お前はよ帰れよ」的な。
ホガーツも完全に自分中心でキルグレイブを逃す手助けをしてしまうわ序盤から描かれ続けた離婚話なんて
視聴者の大半は全く興味ないでしょうにそれなりの時間を割くわと、特にこの二人を中心に、見ていて
あまりにイライラさせられるキャラクターが非常に多いなと感じました、そしてそういうキャラに限って生存。
▼極めつけがキルグレイブの鬱陶しさの演出
視聴者視点だと、当然ジェシカに感情移入して物語を見ると思うので、最初はほぼ確実にジェシカ目線で
キルグレイブを追うわけですが、劇中でジェシカと再会を果たしたキルグレイブは光の速さで逃亡して、
ジェシカを足止めする為に能力を使ってその家の住人で足止め、挙句に備えが万全である事をここは
褒めるべきですが自分が何らかの理由で能力を失った時に備えて予め護衛を雇っていて、シンプソンに
麻酔銃を撃たれてジェシカに拉致されるも窮地を脱するという、能力的には「強制的に相手を従わせる」
という凄い能力ではあるものの、極端に言えば喋れない状態で確保されると力自体は普通の成人男性と
何ら変わらないわけなので、言わば怪力の持ち主であるジェシカには敵うはずがないという状況。
それを分かっているからか、とにかく必死で逃げるというこの最初の登場の仕方が、もうあまりにも
鬱陶しいを通り越して、はっきり言ってウザイなんてものではないクズの極みなので、このキルグレイブの
見せ方と展開的な演出は非常に優れていたなと思いました、視聴者とジェシカを一体化させる意味でも上手い。
▼S1 全13話を見終えての感想
終わり良ければ全て良しという感じで、終盤が特に面白かったので印象としては非常に良い印象が残る、
という作品ではあったものの、正直に言えば序盤をもう少し何とかしてほしかったかな、という印象も。
中盤や終盤なんかは展開の良し悪しは別にして、既に視聴者側が各登場人物の個性や関係性をある程度
把握しているので、単純にキャラクターに対する好き嫌いでも物語を見れるので、いかに序盤で視聴者を
惹きつける事が出来るか、というのが大事だと思うんですが、その点では失敗している部分もあるかなーと。
例えば「3話から面白くなるから見てみて」といった具合に知人に勧めるケースって海外ドラマの場合は
よくあると思うんですが、人によっては初回が微妙だともう見るのをやめる、という人も居ると思うので、
むしろ3話ぐらいまでを水準以上の面白さと物語の先が気になる引きで引っ張ってほしいところを、正直
このドラマは序盤がそこまでではないので、デアデビルなんかもそうですが脱落しやすいというか。
逆に終盤でキルグレイブが両親と再会した辺りからは抜群に面白く、展開的にもまさかこの展開だとこの
キャラが死ぬのでは、という緊張感も含めて盛り上がりが凄いので、文字通り目が離せない展開の連続。
正にこの辺りはNetFlixのように全話一斉配信の強みというか、翌週を待たずとも、気持ち的にも
盛り上がったテンションを持続させて続きが見れるので、従来の作品を毎週見たり、日本だとDVDは
基本的に2話収録なのでディスク交換を必要とするのにNetFlixだと何もしなくても勝手に次のエピソードを
連続再生してくれるので、一気に見る事が出来て満足感も凄かったりと、配信方法と合わせて大成功な感じ。
ただどうしても前述のように、序盤がそこまで盛り上がるわけではないのと、ジェシカもキルグレイブも、
いわゆる映像的に一発で分かる派手な能力ではないので惹きがそこまで強くない事を考えると、全13話、
というスパンではなく全10話ぐらいにまとめたほうが良かったんじゃないかなーという気も。
とは言っても、やっぱり面白いのは面白かったので、全話視聴後の感想としては十分に楽しませて頂きました。
どうしても「特殊な能力を持った者同士の戦い」「敵はかなり歪んだ性格で邪悪な存在」となると、
知名度の関係もありHEROESを連想して、キルグレイブもサイラーを彷彿とさせる部分があるのは事実ですが、
別にそれが悪いわけではないですし、少なからず似通った設定や描写もあるものの、全く違った系統の作品で
しっかり描かれているので、中盤で心配だったその辺りの不安が無くなったのも良かったです。
物語的にはシンプソンの所属していた組織、ジェシカに能力を与えたIGHという機関の謎、といった辺りを
S2で描いていくと思うんですが、キルグレイブがかなり良いキャラをしていただけに、S2では敵の存在が
少し心配かなという印象です、キャラが濃すぎただけにそれに匹敵するレベルの敵を持ってこれるのかどうか。
なんにせよS2の制作も既に決定済みとの事で非常に楽しみです、楽しめただけにS2にも超期待。
厳密には探偵モノというわけではないですし、序盤以降はキルグレイブ関連の展開のみになるので、むしろ
探偵展開は序盤以降ほぼ完全に無くなると言っても過言ではないものの、それでも探偵が主人公という事で、
個人的にはヴェロニカ・マーズ以来という事もあり結構期待していた作品、恐ろしくどうでもいい個人的な
思い入れで言えば、配信開始日が11月20日で自分の誕生日、という事もちょっとした注目ポイントでした。
肝心の感想はというと、同じくマーベルのデアデビルが、ネット上での評価の高さとは裏腹に、どうも
あまり面白いとは思えなかったので少し心配していたものの、このジェシカ・ジョーンズは面白かったです。
キルグレイブが登場するまでは正直少しまどろっこしい展開でしたし、序盤で再三映像として何度も描かれる
ルークとの情事なんかも「そこまで見せる必要あるか?」と少し辟易したのも事実ですが、全体的に面白く。
▼探偵モノではない
ジェシカは探偵をやっていて、序盤こそ何度か依頼を受けて、終盤でも探偵らしい考えや行動で事実を解明、
という展開こそ用意されているものの、誰もが想像するような単発エピで毎回依頼を解決するだとか、
一つの事件を長尺で複数話にわけて解決する探偵モノ、というわけではないので、正直に言うとその点は
少し残念でした、前述のようにヴェロニカ・マーズ以来となる女探偵モノかなと期待していただけに。
内容的には面白かったですし満足もしているんですが、数多く溢れている犯罪捜査モノと違って探偵モノは
数が少なく、更に女性主人公になるとほとんど見かけなくなってしまうので、キルグレイブとの戦いという
本筋からはズレてしまうものの、探偵らしい側面というか、わざわざ探偵という設定にしている以上は、
序盤だけでなく「いかにも探偵」という描写や要素はもう少し入れておいてほしかったかなーと。
ただ、曲に関しては「これぞ探偵モノ」という感じのハードボイルド系にありがちな曲で非常に良かったです。
▼ジェシカの過去が結構重い
比較的序盤から終盤で新たに判明する過去も含めて、主人公であるジェシカが重い過去を背負っている、
というのがまず良かったなと思いました、特に本人も未だに悩んでいるレヴァの殺害という致命的な過去。
これは勿論キルグレイブに操られていた事による殺害なので、そういう意味ではジェシカ本人に責任は無く、
むしろジェシカが救おうとしていたホープと全く同じ被害者ではあるものの、それでも主人公が過去に
人を殺してしまっている、という設定が何よりも凄いなーと、と同時に非常に重い。
更に凄いのが、最終的にはジェシカも何とかして救おうとしていたホープが命を断ってしまったので、
迷いが消えたというか、自身の復讐とホープの無念を晴らす為にキルグレイブを殺しましたけど、
シンプソンにも言われていたように、ジェシカは劇中何度もキルグレイブを殺す事が出来る状況だったにも
関わらず、ホープの無罪判決を勝ち取る為にキルグレイブの能力を立証する事を優先していたので、
ホント結果論上等ではあるものの、ジェシカはキルグレイブを殺せたのに、ジェシカが殺さなかったせいで
数多くの犠牲者と死者をあまりにも出しすぎてしまった、というのがまた重いなーと、エグイ展開。
電流を解除したホガーツも勿論悪いんですが、それでもジェシカのミスで数多くの死傷者を生み出す展開が。
▼お互いの心理戦が熱い
キルグレイブは自分の言葉で相手を意のままに操れる、という流石にチートにもほどがある強烈な能力を
持っていたわけですが、どういうわけかジェシカにだけはレヴァの死後通用しなくなっていたので、終盤で
能力を向上させようとするキルグレイブ、ソレ以降お互いの「果たして能力は効くのかどうか?」の
駆け引きが熱く、ジェシカ側は「この人はキルグレイブに操らているのかどうか?」の見極め、仮に
キルグレイブを昏倒させたり殺した場合、キルグレイブ自身に何かあったら何かを実行しろ、という命令が
下されている人物が居るのではないか、という疑心暗鬼など、特に終盤はこの辺りの心理戦が非常に面白く。
また面白いのが、もうキルグレイブがマジでどうしようもないキャラなので、正直見ている側としては正に
シンプソン同様「いいからこんな危険な奴は始末出来る時に始末しろ」としか思えないものの、敢えて
殺さずにホープの無罪判決を勝ち取るべく戦っているので、という事は最終的にどういう結末を迎えるのか、
という予想も色々立てれたので、その辺りの面白さもありました。
ここまで引っ張って殺さないという事は、当初の予定通り密閉室に閉じ込めて放置、で意外と終わるのかと
思っていただけに、ホープが、自分が選んだ道とはいえ命を断ってしまいジェシカがキルグレイブを最終的に
殺す、という結末は、ある意味このドラマらしい重さを最後まで貫いたなーと。
▼キルグレイブは何故126万ドルを支払ったのか?
ジェシカが昔住んでいた家を手に入れる為に、今現在の時点でその家に住んでいる家主に対して能力を
行使せず、能力で得た資金とはいえ実際に家の譲渡資金として126万ドルを家主に支払っていましたが、
結局これは何故能力を使わなかったんでしょうか、一応劇中では最後まで明かされませんでしたが。
金を支払った直後家主には「立ち去れ」と命令して能力はきちんと発動していたので、何らかの理由で
一時的に能力が使えなかったので、というお約束の展開ではないのに、能力は使わずに代金を支払う展開。
これはやはり、本人も言っていたように多少屈折した想いではあるものの、キルグレイブにとってジェシカは
どうしても手に入れたいとか従わせたいとか、とにかく唯一何とかして振り向かせたい相手であって、
愛しているのは事実だと思うので、その相手を喜ばせる為に能力を使わずに金を支払った…というのが一応
理由としては妥当なところなんでしょうか、その資金は能力で得たものですけど、そこはもう関係無く。
▼キルグレイブの苦しみも分からないではない
幼少時代に体験した親からの仕打ちは、お約束の展開とはいえこれはもうあまりに可哀想でしたが、
個人的にはそれ以上にジェシカへ言った「言葉を慎重に選ぶ辛さが分かるか!?」という絶叫。
終盤で本人が更にジェシカへ語っていたように、自分の言葉で誰かが死んでもキルグレイブ自身は罪の意識を
全く感じていなかったようですが、それでも前述の「言葉を選ぶ」という辛さもやはり事実だと思うので、
コレは相当苦しい悩みだなと思いました、ああしろこうしろ、に聞こえてしまう冗談すら迂闊に言えない。
親による仕打ちで屈折したり、精神年齢がその時のまま止まってしまったとしても、当然キルグレイブも
大人になるまでに色んな人と出会って、極端に言えばジェシカに対して感じているのと同様好きになった
相手も居るでしょうに、何を喋っても自分の思い通りになってしまううえ、支配から脱却すると相手は
自分を恐怖の目で見て逃げていくだけでしょうから、ホント確かにこういう展開はあまりにお約束の過去では
あるものの、それでもキルグレイブの「言葉を慎重に選ぶ辛さが分かるか!?」は重い一言だったなーと。
▼印象的なセリフが多い
こういうのは当然個々様々に感じるところは違うと思うので、あくまでも個人的には、ですけど、まずは
前述のキルグレイブによる「言葉を慎重に選ぶ辛さが分かるか!?」にはじまり、初回エピでホープの父親が
言った「女性が一人で住んでるんだぞ、ドアの無い部屋なんて危険すぎる!」というあまりに男前なセリフ。
「ホガーツを1000回切りつけて殺せ」「ルーベンの命に値段をつける気?」「私は一流の変態よ」
ハっとさせられる説得力のあるモノもあれば、ジェシカが言った一流の変態のように極めてセンスを感じる
インパクト抜群のセリフもあったりと、非常に印象的なセリフが多い作品だったなと思いました。
一流の変態に関してはサブタイにまで使われているわけなので、相当制作側もお気に入りのセリフ。
▼イライラさせるキャラクターの多さが尋常ではない
別に見ていて本気で腹が立つ、とかそういうレベルではなく、あくまでマルコムのように心底鬱陶しい、
というキャラクターでの事ですが、まずマルコムなんかは序盤はキルグレイブに操られてジェシカの
写真を届けていた、という被害者なのでまだしも、簡単に薬に溺れるわ、被害者の会ではいつのまにか
自分がグループをまとめてる、的な顔で行動しているわ、最後も故郷へ帰ると言いつつ結局ジェシカへの
気持ちがあるからかとどまり続けて最後は助手のような形で物語を終えるという「お前はよ帰れよ」的な。
ホガーツも完全に自分中心でキルグレイブを逃す手助けをしてしまうわ序盤から描かれ続けた離婚話なんて
視聴者の大半は全く興味ないでしょうにそれなりの時間を割くわと、特にこの二人を中心に、見ていて
あまりにイライラさせられるキャラクターが非常に多いなと感じました、そしてそういうキャラに限って生存。
▼極めつけがキルグレイブの鬱陶しさの演出
視聴者視点だと、当然ジェシカに感情移入して物語を見ると思うので、最初はほぼ確実にジェシカ目線で
キルグレイブを追うわけですが、劇中でジェシカと再会を果たしたキルグレイブは光の速さで逃亡して、
ジェシカを足止めする為に能力を使ってその家の住人で足止め、挙句に備えが万全である事をここは
褒めるべきですが自分が何らかの理由で能力を失った時に備えて予め護衛を雇っていて、シンプソンに
麻酔銃を撃たれてジェシカに拉致されるも窮地を脱するという、能力的には「強制的に相手を従わせる」
という凄い能力ではあるものの、極端に言えば喋れない状態で確保されると力自体は普通の成人男性と
何ら変わらないわけなので、言わば怪力の持ち主であるジェシカには敵うはずがないという状況。
それを分かっているからか、とにかく必死で逃げるというこの最初の登場の仕方が、もうあまりにも
鬱陶しいを通り越して、はっきり言ってウザイなんてものではないクズの極みなので、このキルグレイブの
見せ方と展開的な演出は非常に優れていたなと思いました、視聴者とジェシカを一体化させる意味でも上手い。
▼S1 全13話を見終えての感想
終わり良ければ全て良しという感じで、終盤が特に面白かったので印象としては非常に良い印象が残る、
という作品ではあったものの、正直に言えば序盤をもう少し何とかしてほしかったかな、という印象も。
中盤や終盤なんかは展開の良し悪しは別にして、既に視聴者側が各登場人物の個性や関係性をある程度
把握しているので、単純にキャラクターに対する好き嫌いでも物語を見れるので、いかに序盤で視聴者を
惹きつける事が出来るか、というのが大事だと思うんですが、その点では失敗している部分もあるかなーと。
例えば「3話から面白くなるから見てみて」といった具合に知人に勧めるケースって海外ドラマの場合は
よくあると思うんですが、人によっては初回が微妙だともう見るのをやめる、という人も居ると思うので、
むしろ3話ぐらいまでを水準以上の面白さと物語の先が気になる引きで引っ張ってほしいところを、正直
このドラマは序盤がそこまでではないので、デアデビルなんかもそうですが脱落しやすいというか。
逆に終盤でキルグレイブが両親と再会した辺りからは抜群に面白く、展開的にもまさかこの展開だとこの
キャラが死ぬのでは、という緊張感も含めて盛り上がりが凄いので、文字通り目が離せない展開の連続。
正にこの辺りはNetFlixのように全話一斉配信の強みというか、翌週を待たずとも、気持ち的にも
盛り上がったテンションを持続させて続きが見れるので、従来の作品を毎週見たり、日本だとDVDは
基本的に2話収録なのでディスク交換を必要とするのにNetFlixだと何もしなくても勝手に次のエピソードを
連続再生してくれるので、一気に見る事が出来て満足感も凄かったりと、配信方法と合わせて大成功な感じ。
ただどうしても前述のように、序盤がそこまで盛り上がるわけではないのと、ジェシカもキルグレイブも、
いわゆる映像的に一発で分かる派手な能力ではないので惹きがそこまで強くない事を考えると、全13話、
というスパンではなく全10話ぐらいにまとめたほうが良かったんじゃないかなーという気も。
とは言っても、やっぱり面白いのは面白かったので、全話視聴後の感想としては十分に楽しませて頂きました。
どうしても「特殊な能力を持った者同士の戦い」「敵はかなり歪んだ性格で邪悪な存在」となると、
知名度の関係もありHEROESを連想して、キルグレイブもサイラーを彷彿とさせる部分があるのは事実ですが、
別にそれが悪いわけではないですし、少なからず似通った設定や描写もあるものの、全く違った系統の作品で
しっかり描かれているので、中盤で心配だったその辺りの不安が無くなったのも良かったです。
物語的にはシンプソンの所属していた組織、ジェシカに能力を与えたIGHという機関の謎、といった辺りを
S2で描いていくと思うんですが、キルグレイブがかなり良いキャラをしていただけに、S2では敵の存在が
少し心配かなという印象です、キャラが濃すぎただけにそれに匹敵するレベルの敵を持ってこれるのかどうか。
なんにせよS2の制作も既に決定済みとの事で非常に楽しみです、楽しめただけにS2にも超期待。